オーストラリアのオーガニックとはどういうものですか? ~肥料編~

オーガニックは遺伝子組み換えではないとか、化学肥料を使わない、など基本的な事項はすでにすでに多くの方に認知されています。 

そのほかにも、農作地の用水の扱い、生産施設、生産後の保管や輸送などについても細かい基準がありますが、今回は農作物を育てるために必要な肥料について日本とオーストラリアの違いを調査してみました。

 

 (調査)

 

オーストラリアでは2009年にAS6000と呼ばれる統一規格基準が開始されたことで、今回はオーストラリア政府(農水省)と基準制定機関であるBFA(Biological Farmers of Australia)の資料データを抜粋してご紹介しています。

 

参考資料: 

1)オーストラリア農水林業省HP および 政府発行の 

  National Standard for Organic and Bio-Dynamic Produce 2009

 

2)About the Australian Organic Standard (AOS) by BFA

3)BFA Organic Standard 2010 ver.1.0

 

 

 

1. オーガニック作地における肥料について

 

オーガニック作物を収穫した作物の後の残り(根や茎、葉の一部など)については、畑の肥料としてリサイクルすることを基本としています。 作物に栄養を与える上で、化学肥料ではなく、いくつかの天然肥料を加えることは認められています。それらを集計すると150以上の肥料の扱いの基準が設けられ、一部の肥料の扱いについては、日本とオーストラリアでは基準が異なることもあります。

 

今回は、肥料の中で日本とオーストラリアの基準の違いがあるものを、下記に抜粋いたします。(資料からの抜粋のため、現行では変化している可能性もあります)

 

日本とオーストラリアで扱い基準が異なっている肥料 

 

1.Homeopathic preparations (ホメオパシー原料)

 オーストラリア:可、日本:不可。

ホメオパシーとは「健康な人間に与えたら似た症状をひき起こすであろう物質をある症状を持つ患者に極く僅か与えることにより、体の抵抗力を引き出し症状を軽減する」という理論およびそれに基づく行為。ホメオパシーは、200年以上前にドイツ人医師が提案した思想をもとにした理論であり、今日でも欧州を中心とした複数の国にホメオパシーは浸透していますが、日本は科学的根拠なし。とのこと。主にハーブ系の原料が多く、オーストラリアで一般に自然食品店やファーマシーで販売しています。参考までにホメオパシー原料リストはこちらでご覧いただけます。

 

2. Petroleum distillates (石油系液化ガス)

   オーガニック:制限付 日本:不可。 

オーストラリアでは葉茎などが発酵したガス(日本ではバイオガスと言う)の使用を部分的に使用を制限しているのに対し日本ではリストとしてない。直接食物に振り掛けるものではありません。

 

3.Potassium bicarbonate (炭酸水素カリウム)

オーストラリア:制限付、日本:不可

オーストラリア側の資料には理由説明がなかった。独自に調べたところ、おそらく炭酸水素カリウムは欧米ではもともと食品扱いなのに対し、日本では厚生省扱いの薬品にリストになっているのが原因と思われます。 炭酸水素カリウムはもともと広く天然の防除剤として使用され、安全性は確認済みです。

 

4.Sodium bicarbonate (重炭酸ソーダ、いわゆる重曹)

オーストラリア:可、日本:制限あり。

日本では安全性の認められた数少ない農薬として有機でも使用されていますが、一方ベーキングパウダーとしての食品にも該当するので、「農薬」の目的と「食品」の目的が共存するため、管轄がまたがることで制限が設けられたと推測。

 

5.Suger  (砂糖)

オーストラリア:可。 日本:制限あり

日本ではオーガニック砂糖の供給生産者の認証の内容に依存するとのこと。

 

6.Sugar Lime (黒砂糖~糖液に石灰を混ぜたもの)

オーストラリア:可。 日本:制限あり。

もともとの製糖会社から供給された黒砂糖であることが条件。炭酸カルシウム単体の扱いが影響していると推測。 

 

7.Virus sprays (ウィルススプレー)

オーストラリア:可。 日本:制限あり。

ウィルスの意味はバクテリア。 うどん粉病には酢液スプレーを使用したり、害虫予防全般にはニンニクスプレーなどあります。日本ではそれらの自然原料が遺伝子組み換えでないことが条件。

 

まとめと考察

 

日本とオーストラリアでは150以上ある肥料の扱いの基準において、7つほどの違いが見つかりました。しかし掘り下げて調べてみると大きな基準の差は見当たらないような印象をうけます。唯一あげるとすると、文化や歴史の違いで扱いが異なるホメオパシーの部分かもしれません。また日本の場合は管轄省庁をまたいだ原料になると、急に扱いが慎重になる印象もうけています。

 

今回は使用する肥料についての調査ですが、そのほかの基準についても追って整理いたします。