オーガニックにラム肉と牛肉を使う理由

ウィステリア・アダルト(成犬用)ではラム肉、牛肉をおよそ55の割合、エバーラスティング・シニア(高齢犬用)ではカロリーバランスを調整する目的でラム肉6:牛肉4の割合で組み合わせております。

 

2種類の動物性タンパク質を原料とすることになったのはアレルギーを持つ犬と健康な犬を対象としたフードの開発中の偶然がきっかけです。 有機肉は単体使用より2種類使用したフードの方が、嗜好性・皮膚やウンチの状態などの健康面でよりよい結果が発見されたということからです。

 

(経緯)

⑴オーガニック肉を使用したフードを開発中の2005年当時、ラム肉が栄養面でも優れ、必須アミノ酸やL-カルニチンも豊富、その上低アレルギーであるので、原材料としてラム肉を使用してはどうかという声がスタッフからあがりました。

工場の経営者であり、動物栄養学博士でもあるキャメロン博士も、「有機肉ではアレルギー発生が一般肉に比べ少ないことは知られているので、実際に試してみることにしよう」と、工場と契約しているケンネルに、有機ラム肉入りフードと有機牛肉入りフードを与えてテストすることにし、一緒に試作品をつくることになりました。もちろんオーガニック肉は高級品なので、工場の小さな機械を使用し、試作品を1トンずつ生産し、テストが始まりました。 

 

<テストについて>

対象の犬:ケンネルの判断により普段からアレルギー(アトピー)の傾向がある犬15匹(アレルギーにも型、ストレス性など種類があるため、食事だけで解決できない問題もあり、ケンネルの判断で、食事が影響しているのでは、という犬を対象)と、特段問題のない5匹の計20匹。年齢は2歳~14歳。 犬種はコリーなど7種。 期間はケンネルの指定で3週間としました。

 

ケンネルには以下のチェックを依頼。

1日朝夕2回の食事

食べ残しの確認

食いつきの善し悪し

④ウンチの状態

精神状態(吠えてばかりいないか、落ち着きの様子)

皮膚の状態

爪、耳の状態

嘔吐などの有無

水の減り具合

 

結果としては

 

作りたてのフードはおいしいので全ての犬の食いつきはよく、最初の数日は対象とはしませんでした。5日目ころから、飽き始めてくる犬が3匹おり、それ以外は嗜好性もよく、皮膚の状態、毛並み、糞や行動についても良好であったとの結論でした。  

ラム肉のテストが終わり、次は牛肉のフードでテストの準備を進めましたが、一度ケンネルが通常使用しているフードに2週間ほど戻し、ケンネルの判断のもとテストを再開しました。 このときの結果は、牛肉の方が少しウンチがやわらかくなった犬も見られましたが、その犬の体調の問題の可能性もあり、ラム肉と同様の結論との判断となりました。  

テストが終わり、協力してくれたワンちゃんたちへのお礼にと、ドッグビスケットと残っている実験用のラム肉入りフードと、牛肉入りのフードをケンネルに贈りました。  

その後、1週間ほどしてケンネルから突然電話があり、  

「いただいた牛肉入りフードとラム肉入りフードですが、分けて与えるのも面倒なので一緒に混ぜて与えたら、その方が食いつきがよく、犬達がより食事を楽しみにしているようです」  

と言うのです。 

すぐにかけつけたところ、先日おなかの調子が悪かったワンちゃんのウンチもすこぶる良く驚きました。ケンネルから経過を聞き取り、博士、スタッフ間で、まったく同じタンパク源を与える場合よりも、複数のタンパク源を組み合わせる方がアレルギーの発生を抑える効果も期待でき、嗜好性も単品タンパクよりも良いだろう、ということになり、また1ヶ月ほどしてラム肉と牛肉を原料の段階から混ぜ、同様のテストを行いました。 結果はこちらも同様で皮膚や被毛の状態、嗜好性、ウンチの状態共にすこぶる良く、意外なところで発見があり驚きました。 その後も継続して調査し、嗜好性について博士曰く

「香気成分である肉のラクトンの構成は肉によって異なるが、その組み合わせが犬が好む結果を生み出したのは確かである。しかしながら、すべての犬種に共通するかどうかの検証は、まだ課題でもある」とのことです。

 (イメージ)

   ラム肉のラクトン      牛肉のラクトン      嗜好性UP

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それまでのテストではオーガニック肉を使用したフードは、どうしても一般のフードにくらべ、動物性脂肪分が少なく、嗜好性面ではあまり良い結果が出ていなかったため、「両方一緒に使ってみよう」という結論に至ったのです。